2012年6月6日水曜日

沈んだ太陽

沈んだ太陽



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“カアちゃん、日本の太陽は

沈んでしまったの?”

 
 
“何を言ってんのよ。

『日本沈没』という

映画があったでしょう?

すでに沈没しているのよ。

そんなことより、早く

ボーイフレンドを見つけて

卵を産むのよ!いいわね。”




デンマンさん。。。、またカラスが出てきましたわねぇ。 その後、カラスの一家はどうなったのですか?



あのねぇ~、ついさっきもマンションの窓の外を確かめて見たのだけれど、やっぱりカラスの巣が空っぽですよ。

あらっ。。。とうとう2羽の雛は巣立ってしまったのですか?

そうなのですよ。 6月1日には一家4羽が狭い巣の中で、まるでお別れパーティーを開いているようで。。。、雛もすっかり成長して大きくなって親鳥とほとんど変わらない大きさになりましたよ。 だから、4羽のカラスが小さな巣の中に入ると、今にも巣から転がり落ちそうに「押しくらマンジュウ」しているように見えたのです。 僕はハラハラしながら眺めていたのですよ。

それで今日は巣の中が空っぽなのですか?

6月2日の朝見たら空っぽでした。 それから一度も巣にカラスの姿を見ないのですよ。

雛が巣立つと親鳥も巣から離れてしまうのですか?

そのようですよ。 毎日カラスを見ていたので、巣が空っぽになって、なんだか急に寂しくなりましたよ。

デンマンさんが寂しいなんて言うのは珍しいことですわね。

でも、一時的な感傷ですよ。 僕はもともとが一匹狼のように群れを作らない性分ですからね。。。 だから、30分もすると本を読み始めてカラスのことなど、すっかり忘れてしまいましたよ。 うししししし。。。

またバンクーバー図書館から本を借りてきたのですか?

そうですよ。 寂しがる暇があるなら本でも読んだ方が人生にプラスになりますからね。 ついでだから、小百合さんもバンクーバー図書館の僕のアカウントを見てください。


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あらっ。。。デンマンさんは『蝉しぐれ』をDVDで観たのですか? 私も先日観ましたわ。 うふふふふふ。。。なんだか偶然にしては出来過ぎていますわねぇ。



小百合さん。。。別に僕と調子を合わせてくれなくてもいいですよ。 あまり偶然が過ぎると読む人も白けますからね。 うへへへへへへ。。。

いいえ、私はわざとデンマンさんに調子を合わせたのではありませんわ。 マジで『蝉しぐれ』を観たのですわ。

ほおォ~。。。マジで。。。? 。。。で、小百合さんはどんな感想を持ちましたか?


『蟬しぐれ』

藤沢周平による日本の長篇時代小説。
また、同作を原作とした2003年(平成15年)の日本のテレビドラマ、
2005年(平成17年)の日本映画、
1994年(平成6年)以降に発表された3作の日本の演劇作品である。
藤沢作品の中でも代表的な小説のひとつである。
初出は『山形新聞』夕刊(1986年7月9日 - 1987年4月13日連載)。

あらすじ

海坂藩(作者創造による架空の藩。庄内藩がモデルとされる)を舞台に、政変に巻きこまれて父を失い、家禄を減らされた少年牧文四郎の成長を描く。
小説の冒頭で文四郎は15歳。
市中の剣術道場と学塾に通い、ひとつ年上の小和田逸平や同い年の島崎与之助と仲がよく、また隣家の娘ふくに不思議と心を引かれ、すこしずつ大人になりつつある年頃である。
平凡な日々がおだやかに過ぎてゆくなかで、お世継ぎをめぐる政争が表面化し、これに関与していた養父助左衛門は切腹を命ぜられる。

主人公の牧文四郎は牧助左衛門の一人息子。
ただし実子ではなく、助左衛門の妻登世の実家である服部家からの養子。
物語開始時15歳。
16歳の時、父が藩の政争に巻き込まれて切腹させられ、家禄を28石から7石に減らされて、普請組屋敷から葺屋町の長屋に移された。
17歳の秋、番頭の藤井宗蔵が烏帽子親となって元服し、重好(しげよし)と名乗った。
18歳の正月に、道場の席次が5位となる。
同年3月、里村家老の屋敷に呼ばれ、家禄を28石に戻した上、郡奉行支配となる旨を告げられた。

同年の秋、松川道場との対抗奉納試合で興津新之丞に2勝1敗で勝利し、石栗弥左衛門が考案した秘剣村雨を、唯一の伝承者である加治織部正を通して伝授されることとなった。
20歳の正月、正式に郷方出役(でやく)見習いに任じられて、城の郡代屋敷に出仕するようになった。
同年2月、岡崎せつと結婚。
21歳の時、里村家老に呼び出され、里村が属する派閥の領袖である元中老の稲垣と里村に、欅御殿に潜むふくの息子を里村の屋敷に連れてくるようにとの密命を受ける。
罠の臭いを感じた文四郎は、逸平と布施と共に欅御殿を訪れ、ふくに事の次第を説明して、共に稲垣派と対立する横山家老の屋敷に脱出するように願う。

その時、村上七郎右衛門が率いる稲垣派の襲撃隊が屋敷を襲ってきた。
襲撃隊を退けた文四郎は、ふく親子を一時避難させていた金井村村役人藤次郎宅から、横山の屋敷に向かったが、里村派の警戒が厳しかったため、急遽加治織部正を頼ることにした。
その結果、横山派が稲垣派を押さえて実権を握ることになる(以下、本稿ではこの事件を「欅屋敷事件」と呼ぶこととする)。
この時の功績により、また父助左衛門の過去の功績が認められ、30石が加増された。
欅御殿事件から20数年後、助左衛門の名を受け継ぎ、郡奉行となっていた文四郎は、突然ふくから呼び出しを受ける。

ヒロインの小柳ふく(お福)は牧家の隣家である小柳甚兵衛の娘。
文四郎の3歳年下で、物語開始時12歳。
13歳の時、藩主正室の寧姫に仕えるため、江戸に向かった。
その直前に牧家を訪ねてきたが、文四郎とは会うことができなかった。
15歳の時、藩主の手が付いて側室となった。
すぐに子を身ごもったが、この時は流産してしまう。
それについて与之助は、側室おふねの陰謀だという噂があると文四郎に語った。
また、その後送られてきた与之助の手紙には、江戸藩邸でにわかにふくの評判が悪化し、藩主の寵愛を失ったいう噂について触れてあった。
17歳の時、暇を出されて、藩主の親族である旗本屋代家に預けられた。
しかし、その後密かに国元に送られ、藩主の持ち物である金井村の欅御殿に移された。
その時、藩主の子を宿しており(すなわち、藩主の寵愛を失ったというのは、おふね一派に対する偽装工作だった)、その年の夏に男児を出産した
(この子は早くして大身旗本の家に養子に出されることになる)。
欅御殿事件では、一時避難した藤次郎宅から加治織部正の屋敷まで、文四郎に連れられて逃避行をした。
事件の後、側室おまんに代わって城奥の支配者となり、文四郎と直接会うことは長らく無かった。
しかし、20数年後、側室として仕えた前藩主が亡くなり、その一周忌を前にして白蓮院の尼になることを決めた。
そして、その前に文四郎に会いたいと手紙を送る。






出典: 「蝉しぐれ」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』




何と言っても最後にお福が文四郎に手紙を送り、お寺の一室で再会するシーンは私も思わず涙を流してしまいましたわ。


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ほおォ~。。。そうでしたか。。。実は僕も知らずに涙が流れてきたのですよ。



マジで。。。? デンマンさん。。。今度はデンマンさんが私に調子を合わせるのですか?

いや、いや。。。冗談や揚げ足取りではありませんよ。 僕も、マジで涙に暮れたのですよ。

まさかァ~。。。? 信じられませんわ。

やだなあああァ~。。。あのねぇ~、僕は一匹狼でニヒルで冷酷な人間のように見えるけれど、これで、どうして。。。心の中は暖かい人間なのですよ。

本人がそのように言ったら信じる人はありませんわよ。 (苦笑)

うへへへへへ。。。ちょっと言い過ぎましたかね? でもねぇ~、僕と小百合さんが同じ箇所で感動して涙を流したということは、実に考え深いですよ。

どうしてですか?

だってぇ、僕と小百合さんが日本で再会するのは、いつも大長寺の境内ですよ。 あの大仏の前の白いテーブルですよ。







こうしてHよりも感じるハグをして僕はいつも嬉し涙に咽(むせ)ぶのですよ。



デンマンさん。。。そのような事をおっしゃっても誰も信じませんわよ。

そうでしょうか?。。。「真実は小説より奇なり」と申しますからね。 事実というのは、時には小説よりも虚構に満ちているものなのですよ。

。。。で、ジェームズ・ボンドの“Tomorrow Never Dies”もバンクーバー図書館から借りたDVD で観たのですか?

そうですよ。 小百合さんも観ましたか?

いいえ、私はアクション映画はどちらかと言うと敬遠するタチなのですわ。

荒唐無稽なところがたくさんあるけれど、見ていて面白いですよ。 観客が飽きないように、いろいろなアクションを盛り込んでいて、楽しめるエンターテインメントになっているのですよ。


『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』

"Tomorrow Never Dies"は、ロジャー・スポティスウッド監督のスパイアクション映画。
1997年公開。
英国諜報部MI6の諜報員007ことジェームズ・ボンドが活躍する007シリーズ第18作。
1997年の映画の世界興行成績で、第4位を記録した。

あらすじ

イギリス諜報部MI6はロシア当局と合同で、ロシア国境における武器取引マーケットの調査を行っていた。
侵入したボンドの撮影した映像から、大量の武器と日本人テロリストの磯倉聡やアメリカ人のテロリストのヘンリー・グプタをはじめとする危険人物が集まっていることを確認したMI6は、ロシア側の合意によりイギリス海軍艦艇からの巡航ミサイル攻撃を行う。
ところが、市場の商品の中に核魚雷がある事が判明、ミサイルは母艦から距離が離れすぎていた為自爆電波が届かず、ボンドには退避命令が出される。
だが、ボンドは命令を無視して核魚雷を搭載した戦闘機諸共確保して飛び去り、チェルノブイリ以上の核汚染は阻止された。
しかし、この代償に会場にいた危険人物の1人、ヘンリー・グプタは逃走してしまう。

その後、南シナ海の中華人民共和国の沿岸の「公海上」を航行していたイギリス海軍フリゲート「HMSデヴォンシャー」が、中国人民解放軍空軍のミグ戦闘機による領海侵犯の警告を受けた後に撃沈された。
同時に中国人民解放軍空軍のミグ戦闘機も撃墜された上に、その後脱出した乗組員も皆殺しにされた。

HMSデヴォンシャーは実際には中華人民共和国の領海内を航行していたにも拘らず、なぜか領海から離れた公海上を航行していたと艦内のレーダーには表示されていた。
また同時にシンガポールのMI6支局は不可思議なGPS電波が発信されていたことを掴んでいた。
さらに、HMSデヴォンシャーからの「公海上で中国人民解放軍空軍機の攻撃を受け撃沈された」との電文を受けたばかりのイギリス国防省とM、さらに首相らが事実関係の確認に追われている最中にもかかわらず、なぜかイギリスの新聞「トゥモロー」上に「公海上を航行するイギリス海軍艦と中国人民解放軍のミグ戦闘機が交戦し、撃沈され乗組員が虐殺された」という記事が掲載された。

事件の背後には、偽のGPS電波でHMSデヴォンシャーを中華人民共和国の領海におびき寄せた上に、HMSデヴォンシャーと中国人民解放軍のミグ戦闘機を自らが所有するステルス艦によって撃沈、撃墜し、さらに情報操作で両国間の戦争を演出し大きな利益を得ることを狙う、「カーヴァー・メディア・インターナショナル」の総帥でメディア王・エリオット・カーヴァーがいた。

「トゥモロー」が伝えるHMSデヴォンシャーの「公海上」での撃沈と乗組員の虐殺に激怒したイギリス首相は、イギリス海軍艦隊の中華人民共和国への派遣を命じるものの、「トゥモロー」の早すぎる記事の掲載と不可思議なGPS電波の発信に疑問を抱いたMはこれに抗議し、これを受けて首相は艦隊派遣の48時間の保留と、48時間以内の事実関係の調査を命じた。
Mはボンドをカーヴァーのパーティーが行われるハンブルクに派遣する。

以前に関係があったカーヴァー夫人パリスから情報を得たボンドは、カーヴァーのビルに潜入、カーヴァーの部下であったグプタの部屋からレーダーの座標を狂わせるGPS暗号機を発見する。
その直後逃走中に、パーティーの席で新華社通信の記者と偽っていた中華人民共和国国外安保隊員ウェイ・リンと鉢合わせする。
盗聴したボンドとパリスの会話からカーヴァーの逆鱗に触れたパリスは、ハンブルクのホテル・アトランティークでカーヴァーの部下Dr.カウフマンに殺されてしまう。
パリスの遺体と対面を果たしたボンドは、一瞬の隙を突いてカウフマンに復讐を果たす。

ボンドはCIAのジャック・ウェイドの協力でデヴォンシャーが沈んでいることが判明した南シナ海へ向かう。
沈没したデヴォンデャーの艦内でボンドはウェイと再会するが、カーヴァーの手下に捕らえられてベトナムのサイゴンのカーヴァー・メディア・インターナショナルの支局に送られてしまう。

何とかカーヴァーの元から脱出した2人は、協力してカーヴァーの所有するステルス艦に潜入、カウフマンの弟子スタンパーの抵抗を制してデヴォンシャーから盗み出されたミサイルに爆弾を仕掛けることに成功、カーヴァーの野望を粉砕した。
報告を受けたMは、「カーヴァーは海上で事故死した」と情報操作するよう手配した。






出典: 「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』




ボンドガールの大佐ウェイ・リンを演じているミシェール・ヨー(Michelle Yeoh)が小百合さんの面影を宿しているのですよ。


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この上の写真の向かって左端の女性ですか?



そうです。

似てるかしら?

もちろん、性格とか考え方は全く似てないけれど、表情に小百合さんの面影を感じるのですよ。

中国人ですか?

マレーシアで生まれた中国系マレーシア人ですよ。 バレリーナになるため、ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・ダンスで修行したのだけれど、怪我が元で断念し、振付を学んで卒業してから女優になったのです。 その後、マレーシアに戻り、ミス・マレーシアに選ばれた。 結婚したけれど、すぐに離婚して、また女優に戻った。 小百合さんと同じ世代ですよ。

。。。で、『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』を観おえてから『沈まぬ太陽』を読み始めたのですか?

そうです。 4冊を3日間で一気に読み終えましたよ。


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『沈まぬ太陽』は、確か、第1部から第5部まであるのではないですか?



あれっ。。。小百合さんも『沈まぬ太陽』を全巻読んだのですか?

いいえ。。。新聞の宣伝で見ただけですわ。 (微笑)

バンクーバー図書館の日本語の棚には第2部から第5部までしかなかったのですよ。 誰かが第1部だけを借りたようです。

でも、どうしてまた『沈まぬ太陽』を読む気になったのですか?

僕は『腐った翼』を読んで日本航空で恐怖経営体制を築き上げた兼子社長に興味を持ったのですよ。
  

怪文書は兼子人事をこう切って捨てる。
学習院大学を卒業しJAL入りした貨物出身の新町は、社長候補ではなかった。
そのため、西塚へのつなぎ役だとされた。
西塚は同窓の東大を卒業した兼子の後輩にあたり、労務部長を務めた労部畑のエースだった。
文書はこう続く。



「改めて申し上げるが、日本航空は5万人を超す超大企業であり、世界のトップを目指す航空会社なのだ。
にも拘わらず、トップ人事はかくの如く、財務に至っては取引銀行等から指摘のとおり剰余金実質ゼロの状況にあり、前期は800億に及ぶ過去最高の赤字を計上した。
そこに求心力のない社長が誕生したら一体どうなってしまうのか?
しかも、自分の退任後の影響力を残す為、次の次の社長に子飼いを据える伏線まで敷いてある」

そして、この怪文書騒動は、予想されたより、はるかに燃え上がるのである。

「兼子さんの独裁ぶりは、本当に目にあまりました。
人事についても、本社社長が決めるのは役員選出まで。
その下の部長は役員に任せるものだが彼は誰にも相談せず、部長人事まで自分で決めるんです。
会社の行き帰りのハイヤーに人事記録を持ち込んで、草案を練るんだそうです。
それを子飼いの西塚(専務)に渡し、彼がその通りに実行する。
部長まで兼子さんの威光で決まるので、上から下まで恐怖政治が浸透していました。
金子さんの経営方針に逆らおうもんなら、課長であろうが部長であろうがすぐに飛ばされる。
だから社内には閉塞感が漂い、ものが言えなくなっていったんです


赤字はデンマンが強調のため。
読み易くするために改行を加えています。
イラストはデンマン・ライブラリーより)




78-79ページ 『腐った翼』
著者: 森 功
2010年7月10日 第2刷発行
発行所: 株式会社 幻冬舎

『ファシスト管理人の将来』に掲載
(2012年2月27日)




つまり、兼子体制についてもっと知りたいと思ったのですか?



いや、兼子社長のことよりも、主人公の恩地元(おんちはじめ)がどうなったのか? その事が気になっていたので第2部から第5部までを一気に読んだのですよ。


主人公の恩地元(おんちはじめ)は、実在の人物そのものではありませんが、原型となる人物は居ます。
...学生時代からの憧れだったアフリカのキリマンジャロを見に行く旅に出ました。


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未知の国に行く時には、その国を良く知っている人に案内を乞うというのが、私の信条でしたから、“ナイロビの主”だと言われている日本人を、人づてに紹介して戴いたのです。

ナイロビ空港におりたち、さまざまな人種でごった返すロビーを見渡し、出迎えを頼んでいた旅行社の人を探していると、一角に周囲の雑踏から切り取られた絵のごとく古武士のたたずまいを漂わせた人が目につきました。
なんとなく引き寄せられるように近づくと、「お迎えに参りました」と、鄭重な言葉がかけられました。
それが恩地元の原型となる人物との出会いでした。

...やがてその人がただのアフリカ通ではないことが解ってきました。
自分のことは一切、語られませんでしたが、古今東西にわたる教養の深さといい、穏やかながら目の厳しさといい、現代の日本人から次第に薄れつつある毅然としたたたずまいを感じはじめたのです。

航空会社でのナイロビ駐在が異常に長かったことは承知していましたが、彼ほどの人となりの会社員がなぜ“ナイロビの主”と言われるようになったのか、率直に聞きました。
初めは口を濁しておられましたが、私の素朴にして執拗な問いに根負けされたのか、ポツリ、ポツリと話しはじめられました。

キリマンジャロのふもとのロッジで、気高い山容を仰ぎ見ながら、その人を主人公に据えた人間ドラマが芽生え始めました。
私は山を見に来たのだけれど、ここには企業の犠牲となってもなお節(せつ)を曲げずに生き続けている人物が存在している。
私はその人に「あなたの経験、企業の不条理を小説のテーマに考えたい」と話したのです。

(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)




165-166ページ
『作家の使命 私の戦後』
著者:山崎豊子
2009年10月30日 第1刷発行
発行所: 株式会社 新潮社




。。。で、主人公の恩地元(おんちはじめ)はどうなるのですか?



この主人公にはモデルがいたのです。 それが小倉寛太郎氏です。


小倉寛太郎は、山崎豊子の小説『沈まぬ太陽』における主人公のモデルといわれる。
東大時代から学生運動で鳴らした小倉は、入社後も、その過激な組合活動で知られた。

JAL社内で伝説的に語られるのが、首相フライトのストライキ騒動だ。
松尾静麿が社長に就任して2年目の1962年11月のこと。
ときの首相、池田勇人が欧州へ外遊した。


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その際、運行ストをちらつかせ、労働条件の改善を迫ったのが、小倉委員長率いる日本航空労働組合(日航労組)である。
あわや首相フライトを止められそうになったJALの経営陣は、それ以来、労使問題がトラウマになる。
現在、8つある組合問題の原点だ。

小倉はその後、パキスタンのカラチやケニアのナイロビへ左遷された。
それを本社へ引き戻したのが、伊藤人事だった。
1986年4月、小倉は会長室部長に就任。
伊藤(淳二・会長)の側近として仕える。
と同時に、伊藤は小倉委員長時代の日航労組書記長を運航本部業務部長に据えた。

赤字はデンマンが強調のため。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)




50ページ 『腐った翼』
著者: 森 功
2010年7月10日 第2刷発行
発行所: 株式会社 幻冬舎




この伊藤会長は結局、組合統合を果たせなくなり、挫折してしまう。 会長室も閉鎖されて会長室部長になった主人公はまたナイロビに左遷されてしまうのですよ。



『沈まぬ太陽』というタイトルからはハッピーエンドを期待してしまうのですけれど、そのようにはならないのですね。

その通りですよ。 だから、僕はこの記事のタイトルを「沈んだ太陽」にしたのですよ。

。。。で、いったい何が問題だったのですか?

あのねぇ~、伊藤会長や小倉寛太郎氏の想像も及ばないところに大きな問題があった。 それは第5部の次の箇所に出てくる。


竹丸とインドネシア利権は、脳梗塞で倒れた田沼が総理大臣だった頃から、太いパイプでつながっていた。
インドネシアの国威発揚のために、首都ジャカルタに建設された超高級ホテルやショッピングセンター、首都環状高速道路等々---、それらの多くは日本のODA(政府開発援助)によって賄われ、その度に“マダム・テンパーセント”と囁かれている大統領夫人をはじめとする一族、大統領の政権と共に発展してゆく華僑たちから、田沼、竹丸ら日本の政治家へしかるべき額のキックバックがなされていた。

 (中略)

(社外取締役)池坊は、隠密裏に来日した大統領側近ナンバーワンの企画大臣に「竹丸先生は、謝意など不要と云われたらしいが、最後はやはり金ですよ」と云い、10年のドル先物予約と、円の先物予約をクロスさせる“仕組み”を打ち合わせたのだった。
アメリカ留学で経営学修士を取得した企画大臣は、説明すると、なるほどと感心し、諒承したのだった。

10年先物予約の相手など、いかに外国為替の市場規模が大きくなったとはいえ、おいそれとは見つからない。
日米の金利差で、計算上、出てくる理論値など、期間が長びけば長びくほど、あってなきが如きというのが現実であった。
それなればこそ、インドネシアとの“仕組み”も、尻尾を掴まれることなく成立する。

まず産銀の東京本店から、10年先物のドル買いを、産銀ニューヨークにオーダーさせる。
先物レートは日米の金利差から算出した理論値を用いて、平均レートを185円に設定し、その取引の玉(ぎょく)の相対先をインドネシア最大の民間銀行であるガルーダ銀行のケイマンの現地子会社とした。
ケイマン諸島は、カリブ海に浮かぶイギリス領であるが、租税回避地(タックス・ヘイブン)となってからは、世界の企業・投資会社が、現地法人を置くようになった。



(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています)




205-208ページ
『沈まぬ太陽 (五)』
著者:山崎豊子
1999年9月10日 第1刷発行
発行所: 株式会社 新潮社




つまり、黒幕である日本航空の社外取締役が金丸副総理とグルになって日本航空を喰い物にしたというのが真相なのですよ。 上のような“仕組み”が失敗して日本航空は大きな穴を開けた。



その穴をどうやって埋めたのですか?

粉飾決算が長期にわたって行われた。 それが元で日本航空は倒産してしまった。

つまり、黒幕と政治家が日本航空を私物化していたのですか?

そうです。 その付けが日本国民に回されたのです。 自分だけの私服を肥やす悪い奴がどこの組織にも常に居るものですよ。 日本航空の倒産では社外取締役と金丸副総理。 『蝉しぐれ』では海坂藩の家老・里村。 そして『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』では「カーヴァー・メディア・インターナショナル」の総帥でメディア王・エリオット・カーヴァーですよ。

そのメディア王というのはモデルになる人が居るのですか?

居ますよ。 あの悪名高きメディア王・ルパート・マードック(Rupert Murdoch)ですよ。


【卑弥子の独り言】



ですってぇ~。。。
そうですわよね。
どの組織にも、必ず私服をこやしたり、権力欲に駆られて組織を私物化する悪い人物が幅を利(き)かせてくるものでござ~♪~ますわ。
アメブロにも独断と偏見で「言葉狩り」や「写真狩り」をするファシスト管理人が居ります。
まるでヒトラーのように物言えぬ組織にしているようですわ。
だから、誰も「愚かな言論統制」を注意する人が居ないのでござ~♪~ます。

あなただけは、私服をこやしたり、権力欲に駆られて組織を私物化するような事がないようにしてくださいまし。

とにかく、次回も興味深い記事が続きますわ。
だから、あなたも、また読みに戻ってきてくださいね。
じゃあ、また。。。








ィ~ハァ~♪~!

メチャ面白い、

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こんにちは。ジューンです。

会員数が多くても実際に活動している会員は

少ないところもあります。

言葉狩りや写真狩りをしているサイトは当然嫌われます。

どうして会員数を誇示しようとするのでしょうか?

会員数が多ければ広告主に対して

広告の効果をアピールすることが出来るからです。

でも、デンマンさんが説明したように

冬眠中の会員が多いところはすぐに判ってしまうのですよね。

アメブロも、会員数にだいぶこだわっているようです。

2000万人どころか、1000万にも居ないということを

次の記事の中で分かり易くデンマンさんが説明しています。

面白いですからぜひ読んでみてくださいね。

『ファシスト管理人』

では、今日も一日楽しく愉快に

ネットサーフィンしましょう。

じゃあ、また。。。



 

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